マーク・ストレンジ『ボディブロー』


 元へヴィ級プロボクサーのジョゼフ・グランディは、ヴァンクーヴァーの高級ホテルの警備責任者。経営者レオの信頼が篤いのは、八年前に身を盾に彼の命を救ったからだ。レオの愛人だったメイドが殺され、犯人捜しを命じられたジョゼフは、図らずもレオの過去に深く踏み込むことになる。
 MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞の受賞作。今のハードボイルド・ヒーローはオーダーメイドのスーツを着る。一歩ひいて余計なことを口にしないところも、強いボクサーらしくて恰好いい。プロットも謎解きもオーソドックスながら良好なので、ぜひシリーズ第一作も邦訳してほしい。そういえば、ジョゼフは右利き、ボクシングでは「オーソドックス・スタイル」で構える。
(真崎義博訳 ハヤカワ・ミステリ文庫2010 BODY BLOWS by Marc Strange, 2009)
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/437701.html