2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

神秘の島

ジュール・ヴェルヌと聞いて、『八十日間世界一周』や『海底二万海里』、『十五少年漂流記』や『地底旅行』を挙げる人は多いことだろうが、『神秘の島』と言う人は、少ないのではないだろうか。しかし、それは単に、この四篇の代表作に比べ、本が手に入りに…

海底二万海里

……彼(ヴェルヌ)は単なる科学的紙上発明者なのではなく、むしろ秀れたストーリー・テラーであり、冒険ロマンの先駆者なのである。 石上三登志「〈キング・コング学〉入門」(1976)より ぼくは子供の頃、スティーヴンスンやヴェルヌに出会う前に、アポロ11…

【映画】「海底2万マイル」など

短いながら夏休みになったので、久しぶりに映画館に行ってみることにした。で、見たのが次の二本。「湖のほとりで」LA LAGAZZA DEL LAGO(2007年 イタリア映画) http://www.alcine-terran.com/lake/index.html アンドレア・モライヨーリ監督、サンドロ・ペ…

暗殺のジャムセッション

ロス・トーマスの、四十余年も前の未訳作が、いま邦訳されたことに、驚きながら喜んでいる。 1966年の『冷戦交換ゲーム』に続く、マッコークル&パディロ・シリーズの第二作。突然アメリカに帰ってきたパディロと、妻を何者かに拉致されたマッコークルが、ア…

都筑道夫の読ホリデイ

《ミステリマガジン》の1989年1月号から、2002年9月号までの長きにわたる連載「読ホリデイ」をまとめたもので、小森収さんの解説から引用すれば「都筑道夫の最後の書評集」であり、「最晩年の仕事」である。 連載当初、ぼくは《ミステリマガジン》を購読し…

怪物團 異形コレクション

《異形コレクション》が発売されると、そのとき読みかけの本があっても、すぐ買って読みはじめる。けっこう長いこと、そんな読み方をしているのだけれど、なぜまたそんなに読みたいのか、自分に尋ねてみた。 書き下ろしのテーマ・アンソロジーの、その「テー…

本所お化け坂 月白伊織

この世ならぬ怪異に苦しむ人が、助けを求め本所に行くと、目の前に開けるのは、ついさきほどまではなかったはずの坂道。見た目は急だが、あっけなく上りおえると、傾きかけた古寺で、浪人のような見た目の、風采のあがらない男が待っている。見た目が冴えな…

レッド・ガーランド『CAN'T SEE FOR LOOKIN'』

ユニヴァーサルの廉価版で出たレッド・ガーランドの『CAN'T SEE FOR LOOKIN'』(Prestige)を聴きながら、英文のライナーノートを眺めていたら、welterweights という言葉が目に入ってきた。ガーランドがボクサーでもあったことは知っていたが、ウェルター級…