2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ポール・ギャリコ『マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険』

もし、サーカスにいるボクシング・カンガルーが、プロボクサー、それも世界チャンピオンと対戦したら? かれこれ四十年も前に、こんなアイデア一つで、楽しくて痛快でわくわくする小説を書いた人がいる。その小説のタイトルは『マチルダ』、書いたのはポール…

フェリクス・J・パルマ『時の地図』

しんそこ楽しいと思える小説に、久しぶりに出会った。スペインの新鋭作家による、仕掛けと遊び心に満ちた、言ってみれば「西洋伝奇小説」だ。 舞台は1896年のロンドン。H・G・ウエルズの小説『タイム・マシン』が発表された翌年、マリー時間旅行社による20…

マイクル・コナリーおぼえがき

この夏は、マイクル・コナリーの長篇ミステリを読むのに費やした。邦訳されたもの十七作、どれひとつ外れがないことに、あらためて脱帽した。初めて読むものはもちろん、再読したものはなおさらに、その面白さに驚きっぱなしだったのだ。 十余年にわたって、…