2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

F・W・クロフツ『フレンチ警部と毒蛇の謎』

クロフツは『樽』が有名なだけに、アリバイ崩しものの作家というイメージがあるようだけれど、実は密室ものあり冒険活劇ありの多彩な作風の人で、彼が書いたミステリはどれもはずれがないし、続けて読んでも飽きない。 最後に残されていた未訳長篇『フレンチ…

マイケル・バー=ゾウハー『エニグマ奇襲指令』

『ベルリン・コンスピラシー』が実に面白かったので、バー=ゾウハーの旧作を読み返してみたくなった。多くが手に入れにくくなっているのは残念だけれど、幸いこの『エニグマ奇襲指令』は、まだ書店に並んでいる。ぼくがこれを最初に読んだのは、内藤陳さん…

映画『シャーロック・ホームズ』

ガイ・リッチー監督の『シャーロック・ホームズ』(SHERLOCK HOLMES.2009年 アメリカ映画)は、ドイルを原作にしているのではなくて、正典から想を得たライオネル・ウィグラムのグラフィック・ノヴェルによるものだとのこと。なるほど、全体に「漫画」っぽ…

ブログ二周年

自分の好きなことを書いて楽しむつもりで、ブログをはじめたら、もう二年たってしまいました。 飽きるまでは続けていきたいと思います。今後もどうぞよろしくお付き合いのほどを。

スタン・ゲッツ『THE SOUND』

スタン・ゲッツの「ディア・オールド・ストックホルム」が最初に収録されたアルバムだと聞いて、『THE SOUND』をながらく探していた。ポール・チェンバースの『BASS ON TOP』でこの曲を知って、それからマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、バド・…

南洋一郎(原作ルブラン)『奇巌城』

昔、小学校の図書館には、ポプラ社の〈名探偵ホームズ〉と〈怪盗ルパン〉が、ずらっと並んでいた。同級生たちは「ホームズとルパン、どっちが好きか」なんて話していたものだった。 あのシリーズに出会うことは、さすがにもうないだろう。そう思っていたら、…

ジュール・ヴェルヌ『グラント船長の子供たち』

『グラント船長の子供たち』は、ヴェルヌの1868年の作で、1872年の『海底二万海里』とは、1875年の『神秘の島』で、ひとつの世界の物語となる。同作の第二部が本作の、第三部が『海底二万海里』の、それぞれ後日譚となっているのだ。 だが、『海底二万海里』…