2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

マーク・コーエン『フラクタル連続殺人』(未訳)

全体にユーモアがあって洒落た雰囲気で、展開も会話も小気味よく、筋に仕掛けやひねりが利いている。そんなミステリが読みたくなった。いくらでもあるよ、と言われそうなものだけれど、読みたくなったときには、不思議なことに見つからない。 とりあえずは、…

このブログについて

小説でもジャズでも映画でも、自分が「いいな」と思ったら、自分の言葉でその思いを書いておきたい。そんな気持ちで、このブログを続けてきました。書くときには、借り物の言葉をできるかぎり避けてきました。「いいな」と思わないものは、良さがわかるまで…

団鬼六『真剣師 小池重明』

ぼくは将棋のことはよく知らない。賭け将棋ならば、なおさらに。小池重明(こいけじゅうめい)という人のことも知らない。だが、本書の「まえがき」に惹きつけられた。「異端のアマ超強豪」で「新宿の殺し屋」と呼ばれた彼は、己が心の清濁明暗の狭間をさま…

デイヴィッド・ベニオフ『卵をめぐる祖父の戦争』

個人的な思い出ばなしから、はじめさせていただきます。「ポケミス」こと、「ハヤカワ・ミステリ」という翻訳ミステリのシリーズを知ったときほど、わくわくしたことはない。通し番号、抽象画の表紙、ビニールカバー、黄色い小口といった、他に似た本のない…

マイクル・コナリー『ナイトホークス』

マイクル・コナリーの最新作『エコー・パーク』を読んだら、ハリー・ボッシュ・シリーズを通して読んでみたくなった。シリーズものだからといって、なにもそう律儀にならなくても、と自分でも思うのだが、以前マルティン・ベック・シリーズと87分署シリーズ…