2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ニューヨークの野蛮人

『都筑道夫ポケミス全解説』(フリースタイル)からは、編集者時代の都筑さんの、海外の新しいミステリを紹介する気迫のようなものが感じられて、まず本そのものが面白いのですが、その頃のものをはじめポケミス全般を、あらためて読んでみたくなる一冊でも…

ブログ一周年

ふと気づいたのですが、『東京大学のアルバート・アイラー』の感想を書いたとき、このブログをはじめて一年になっていました。よく続いたというべきか、一年なんて短いものだというべきか。 振り向くと、やはり自分の好みだけで書いているので、話題はもっぱ…

濃紺のさよなら

大きな書店で「ポケミス」、つまりハヤカワ・ミステリの棚を見ると、安心する。文庫だと、今ではもう二、三年しないうちになくなってしまうミステリはざらにあるのだが、ポケミスで出たものは、十何年か前に出た本でも棚におさまっていることが多いからだ。…

東京大学のアルバート・アイラー

ジャズを聴きはじめて、だいたい一年。ジャズに強い友人たちが薦めてくれたアルバムや、自分で興味を持ったものを、引き続き聴いている。名盤ガイドブックや評論書は相変わらず手に取る気になれない。本は読むが、ジャズに関しては本イコール勉強、という印…

ジャニータ・シェリダン

ジャニータ・シェリダンのミステリを読むと(とはいっても、この人は寡作なうえ、邦訳もまだ長篇二篇と、昔に雑誌掲載された中篇一篇を数えるのみだが)あたたかい気持ちになる。そして、ミステリの楽しみというのは、本筋のほかにもあるのだな、と、あらた…

殺人をしてみますか?

さて、1950年代の名盤を聴いていたら、同じ時代のミステリが読みたくなってきました。 そこで手に取ってみたのが、ハリー・オルズカーの『殺人をしてみますか?』。1958年の作品で、翌年にはもうハヤカワ・ミステリの500番として邦訳されました。早い! 『都…

ポール・チェンバース・セクステット『WHIMS OF CHAMBERS』

先日、仕事帰りにCDショップに寄ってみました。とはいえ、JRの駅構内にある、いわゆる「エキナカ」のお店ですが。でも、広さもほどほどで品揃えもそれなりに良く、ジャズの棚もけっこう取ってある。EMIのブルーノート名盤シリーズも並んでいたので、…

法人類学者デイヴィッド・ハンター

最近「翻訳ミステリが売れていない」と耳にすることが多い。海外の小説が売れないという本屋さんのぼやきは、昔から聞いてきたものだけれど、あの頃はミステリはロマンス同様、まあ別枠かな、という扱いだったような気がする。 最近、書店を見て回ると、なる…

都筑道夫ポケミス全解説

長らく予告されていたフリースタイルの『都筑道夫ポケミス全解説』が、とうとう刊行された。快挙である。 ポケミス(ハヤカワ・ミステリ・シリーズ)のフォーマットを踏襲した平野甲賀さんの装丁で、572ページという分厚さ。111本の解説と、「ぺいぱあ・ない…