【映画】「海底2万マイル」など

 短いながら夏休みになったので、久しぶりに映画館に行ってみることにした。で、見たのが次の二本。

「湖のほとりで」LA LAGAZZA DEL LAGO(2007年 イタリア映画)
http://www.alcine-terran.com/lake/index.html
 アンドレア・モライヨーリ監督、サンドロ・ペトラーリア脚本。
 舞台は北イタリアの小さな町。町外れの湖畔で、女子高校生の変死体が発見された。老練なサンツィオ刑事(トニ・セルヴィッロ)が事件を捜査するうちに、次第に誰も知らないでいた被害者の素顔が明らかになっていく。
 原作はノルウェーの作家、カリン・フォッスムのミステリだが、まだ日本語には翻訳されていないようだ。情に訴えるほうに重点を置いた印象の脚本で、ミステリ映画としてはやや物足りないかもしれない。湖や町並が綺麗なのが忘れがたい。


「3時10分、決断のとき」3:10 TO YUMA(2007年 アメリカ映画)
http://310-k.jp/index.html
 ジェームズ・マンゴールド監督、ハルステッド・ウェルズ、マイクル・ブランド、デレク・ハース脚本。
 1957年の映画「決断の3時10分」のリメイク。強盗団の首領ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が逮捕され、貧しい牧場主ダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)が、彼の護送役を志願した。三日後の3時10分発ユマ行きの囚人護送列車が着く町まで、ウェイドを奪還しようとする手下たちと戦いながらの、危険な旅が始まる。
 この映画はもちろん面白いのだが、「西部劇ってこんなに面白かったんだ!」という再認識のほうが強くなってしまった。砂塵の色や蹄の音や兆弾といったものに、血が騒ぐ。TVの洋画劇場で西部劇が放映される日は、朝からわくわくしていた子供の頃を思い出した。これがヒットして、新しい西部劇が続々と作られるようになったら面白いのだが、ありえないことだろうな、たぶん。

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 映画を見ると、映画好きの人と話したくなる。
 そこで、仕事の御縁で知遇を得て、勝手に「師」と拝んでいる映画評論家のIさんに会いに行くことにした。「3時10分、決断のとき」から話ははじまったのだが、話題が転々とするうち、ぼくがふと漏らした言葉を聞いたIさん、目を丸くして、
「えっ、君、『海底2万マイル』をまだ見ていないのか?」
 これから見る人がうらやましい、どんな新作を見るよりもまず見ておかなければ、というIさんの熱い言葉を聞くうちに、喫茶店に三時間も長居していることに気づいた。そして、そのまま帰りの足でDVDを買いにいった。

「海底2万マイル」20,000 LEAGUES UNDER THE SEA(1954年 アメリカ映画)
 ウォルト・ディズニー制作、リチャード・フライシャー監督、アール・フェルトン脚本。
 まさに名作! ほとんど無音のなか映しだされる海底の場面といい、ノーチラス号のデザインといい、有名な巨大イカとの闘いといい、わくわくしどおし。ジェームズ・メイスン(ネモ船長)、ポール・ルーカス(アロナクス教授)、ピーター・ローレ(教授の助手コンセイユ)、カーク・ダグラス(銛打ちネッド)という顔ぶれもいい。ヴェルヌの原作を読み返しているような気持ちになった。

 Iさん、ありがとうございました。
「海底2万マイル」と一緒に「決断の3時10分」も抱えて帰ったのだけれど、そちらの感想は、またあらためて。

(蛇足)
 このブログを書いているあいだ、「昆虫の王国」というDVDを流していた。監修は昆虫写真家の海野和男氏。氏の写真集がそのまま動いているかのような、昆虫の生態をおさめた映像が90分近く収録されていて、生き物好きには心底楽しい。不思議なのは、このDVDをリリースしたGPミュージアムソフトという会社、主なリリース作品は任侠もののOVAで、どういう経緯でこれを出したのか、気になってしかたがない。
http://www.gp-museum.com/release/0907/15.html