【映画】ブラックサイト

 ひさしぶりに映画を見てきました。
 サスペンスものの『ブラックサイト』(米2007 原題 UNTRACEABLE グレゴリー・ホブリット監督)です。

http://www.sonypictures.jp/movies/untraceable/

 犠牲者を拉致し、致死的な仕掛けの中に監禁。そのさまをネット上に公開し、アクセス数が上がれば殺人装置の速度が上がっていく。そんな猟奇殺人を繰り返す犯人と、それを追う捜査官マーシュ(ダイアン・レイン)らFBIの攻防を、100分という最近では比較的コンパクトな上映時間にまとめた、なかなかよくできた一本でした。

 一見、よくあるサイコキラーもののような設定ですが、犯人の「動機」の謎解きに重点を置き、伏線も丁寧なので、ミステリ好きな観客を満足させる仕上がりになっています。意外なことに、三人いる脚本家の誰も、ミステリがらみの仕事はしていないようなのですが。

 ぼくもミステリが好きなので、充分に楽しみましたが、ただ、殺し方のいろいろは真面目に怖かった。実は、時間をかけて嬲り殺しにすることにも犯人の理屈があって、物語の重要なポイントになっています。映像としてはっきり見せることはなく、悪趣味に落ちてはいないのですが、あとでポスターをよく見たらR15指定になっていました。

 インターネットは、そこから生まれる社会問題を批判するような描き方ではなく、サスペンスを生み出す素材としてのみ使っていて、そこにも脚本の巧さを感じます。

 それにしても、不特定多数の好奇心が凶器になるなんて、どこかしら現実感があって、そこのところも恐ろしい。