リー・モーガン『THE RUMPROLLER』

〈収録曲〉Rumproller / Desert Moonlight / Eclipso / Edda / The Lady / Venus Di Mildrew
〈パーソネル〉リー・モーガン (tp), ジョー・ヘンダーソン (ts), ロニー・マシューズ (p), ヴィクター・スプロールズ (b), ビリー・ヒギンズ (ds) 1965年4月9日、21日録音

 前にこのブログへのコメントで、「月の沙漠」が入っているのがこのアルバムだ、と教えていただき、聴きたくなってしばらく探したのだが、なかなか見つからない。二週間ほど前に、ようやく輸入盤で見つけたが、買った直後に、国内盤も出ていることを知った。解説などが日本語で読めるぶん、入門者にはそちらのほうがよかったかもしれない。英文のライナーノートも読めないわけではないが、音楽用語をあまり知らないし、それよりもまず、文字が細かい。が、パーソネルと録音年、曲名と作曲者がわかれば充分な気もするし、知りたいことが出てきたら、そのとき調べてみればいいか、とも思う。
 タイトル曲の「RUMPROLLER」という語は、辞書に載っていないようなのだが、proll が prowl の古い綴りだとすれば、「ラム酒を求めてうろつく奴」というような意味になるのだろうか。勉強はさておき、スパイアクション映画のオープニングに似合いそうなこの一曲目に、問答無用で引き込まれた。モーガンのトランペットは、さすがリーダーで、なんともかっこいいが、その傍らに響くジョー・ヘンダーソンのテナーサックスもいい。一度サックスが気になりだすと、そちらに耳を引っぱられてしまうほどに。
 続く二曲目が「月の沙漠」。佐々木すぐる作曲の名作童謡が、メロディの一部をアレンジされて新たな曲になるさまに、聴き入るほかなかった。「ディア・オールド・ストックホルム」のように、トラディショナルな曲をジャズにアレンジしたものは、どうもぼくの好みらしい。
 この二曲の印象が強いので、続く曲が割を食ってしまうかな、と思ったが、ひけを取らないものが並んでいる。「日蝕」と「カリプソ」からの造語らしいタイトルの三曲目は、体感の楽しさが一曲目といい勝負だし、ウェイン・ショーター作の四曲目は三拍子がなんとも心地よい。五曲目の「THE LADY」はミュートが胸にしみる、タイトルどおりの美しい曲。ロングドレス姿のエレガントな黒人美女を想像してしまった。六曲目はボーナス・トラック、こちらもウェイン・ショーターの作で、四曲目同様にダンサブル。
 買ってから、ほぼ毎日こればかり聴いている。そろそろ、前作にあたる『サイドワインダー』も聴きたくなってきた。