夢の漂泊者〜小泉八雲、旅路の果てに

 去る6月7日(土)、原宿EX'REALM で開かれた、「夢の漂泊者〜小泉八雲、旅路の果てに」を見にいきました。
 佐野史郎さんによる小泉八雲作品の朗読と、山本恭司さんのギター演奏のコラボレーション。「耳なし芳一」を中心に、短い作品で構成した朗読と、時に音楽、時に効果音となる演奏の融合と競合は、「朗読」という言葉のイメージを超えた、実に斬新なものでした。
 ぼくは「朗読」というものに対して保守的な考えだったせいか、ステージが始まってしばらくは、どう聞けばいいのか、少々とまどいました。「耳なし芳一」の琵琶の調べが、突然ハードロックになるという演出にも驚きました。が、次第にこのコラボレーションが心地よくなり、最後には小泉八雲の作品だけでなく、その人自身に触れた思いがして、胸が熱くなるほどでした。佐野さんの朗読は、以前、新潮社が出していたCDのシリーズで、江戸川乱歩の短篇を聞いたことがあるくらいでしたが、今回はライヴということもあり、生の声だからこそことさらに、心に深く響いたのかもしれません。
 ステージがいったん終わったあとは、佐野さん、山本さんが再登場して、くだけた雰囲気のトークに。ともに八雲ゆかりの松江ご出身のお二人、少年時代からの長い交友のことや、ロックのお話など、こちらもまた実に楽しいものでした。
 佐野さんは、八雲作品の朗読をこれからもお続けになる、とのこと。次回が楽しみでなりません。