【映画】インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

 映画は好きなほうだとは思うけれど、シリーズものとなると、あまり熱心にフォロウしてはいない。数少ない例外のひとつが《インディ・ジョーンズ》のシリーズだが、この20年ぶりの新作には、「インディも結構な歳だよなあ」と思うと、どうも見ようという気になれなかった。
 が、友人知己が声を揃えて「面白かった!」と言うのを聞いて、やはり見ておこうか、と、雨の日曜日に映画館に出かけた。
 やはり、見てよかった。面白かった。クールな女将校(ケイト・ブランシェット)率いるソ連兵士たちを相手に、ロズウェル事件も絡む「クリスタル・スカル」の謎を、体を張って解くインディ。ハリソン・フォードの老け具合もむしろいい味で、革ジャンのバイク少年(シャイラ・ラブーフ)とコンビを組んでのアクションや、とぼけた掛け合いも楽しい。
 インディが老けた、といえば、このお話の時代設定は1957年。始まるやいなや、プレスリーの「ハウンド・ドッグ」が流れ、ポニーテールの女の子たちが姿を見せる。ロカビリーやフィフティーズ・ファッションの楽しさはもちろんあるけれど、赤狩りや核実験など、この時代のアメリカの「負の部分」にも目が向けられている。堅苦しい扱いではなく、むしろコミカルなのだが、アメリカ本国の観客には苦いユーモアなのかもしれない。
 お話そのものは、けっこう「トンデモ」なネタと展開なのだけれど、伏線が細かく配されていて、時代考証がきちんとしているので、大味になったり、無理が感じられたりはしない。それに、活劇が多様でテンポよく、飽きることがない。これまでの三作同様、危機また危機の盛りだくさんで、「ちょっとはダレ場もないと」などと思うひまもないサービスぶり。上映時間が短く感じられるほどだ。
 秘境冒険ものにはお約束の、珍獣奇虫の登場も面白く、サソリやアリの恐怖あり、インディ大の苦手のヘビありだけれど、ぼくの好みでは冒頭のプレーリードッグと、中盤のサルが可愛くてよかった。
 でも、どんな「危機また危機」なのか、どんなふうに「可愛い」のか、書くわけにはいかない。こういう冒険活劇は、「こんなネタがある」と知ってしまったら、それだけで興ざめになりかねないから。
 見終えれば気分爽快。映画って、やっぱりこういうものであってほしい、とさえ思える、痛快な一本だった。

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL(2008 アメリカ映画)
公式サイト http://www.indianajones.jp/top.html