スタンリー・タレンタイン『ルック・アウト』

〈収録曲〉ルック・アウト / ジャーニー・イントゥ・メロディ / リターン・エンゲージメント / リトル・シェリ / タイニー・ケイパーズ / マイナー・チャント / (BONUS TRACK) ティン・ティン・デオ / イエスタデイズ / リトル・シェリ(シングル・ヴァージョン)
〈パーソネル〉スタンリー・タレンタイン(ts) ホレス・パーラン(p) ジョージ・タッカー(b) アル・ヘアウッド(dms) 1960年6月18日、ニュージャージーにて録音

 ケニー・バレルの『ミッドナイト・ブルー』で、スタンリー・タレンタインのテナーサックスを聴いて、彼のリーダーアルバムが聴きたくなった。折よく、EMIがブルーノートの名盤再発をまた始めていて、先月リリースされたなかにこの『ルック・アウト』があったので、さっそく買って聴いてみた。
 ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』にも、ジョン・コルトレーンの『ソウルトレーン』にも、サキソフォン特有のあたたかさを感じたものだったけれど、タレンタインの音は土っぽさと洒脱さがともにあるなかから、体温のようなものが感じられてきて、どの曲を聴いても心地よい。もしかしたら、ロリンズやコルトレーンよりも、自分の好みには合っているのかもしれない。『ミッドナイト・ブルー』にもあったブルースの味が、こちらにも充分出ているから、ブルースが好きなぼくには相性のいい音なのだろう。
 ホレス・パーランのピアノも、あちこちにはっとさせるようなところがあって、何度聴いても飽きない。このアルバムの前に、彼をリーダーにこのトリオで録音した『アス・スリー』も、ぜひ聴いてみたいものだ。
 この中から特に好きな曲を挙げると、タイトル曲と、クリフォード・ブラウンの作「タイニー・ケイパーズ」だろうか。ボーナス・トラックの「ティン・ティン・デオ」は、アート・ペッパーのと聞き比べても面白い。「リトル・シェリ」はタレンタインが自分の娘に書いた曲だそうだけれど、それを知らなかったら、恋人に書いたものと思ってしまったことだろう。

http://www.emimusic.jp/jazz/release/200806/tocj7104.htm