ビル・エヴァンス『EXPLORATIONS』など

 ビル・エヴァンスの『PORTRAIT IN JAZZ』の新しい版が出ている、と聞いたので、しばらく探していたのだが、ついこのあいだ、ようやく手に入った。

《収録曲》Come Rain Or Come Shine (Take 5) / Autumn Leaves / Witch Craft / When I Fall In Love / Peri's Scope / What Is This Thing Called Love / Spring Is Here / Someday My Prince Will Come / Blue In Green (Take 3) / Come Rain Or Come Shine (Take 4) / Autumn Leaves (Take 9 - monaural) / Blue In Green (Take 1) / Blue In Green (Take 2)
《パーソネル》ビル・エヴァンス (piano) ポール・モチアン (drums) スコット・ラファロ (bass) 1959年12月28日録音

 オリジナル盤のプロデューサー、オリン・キープニューズによる再編集版で、10曲目以降に別テイクをまとめている。ぼくが、オリジナル盤を聴いて「ジャズ」というものに惹き込まれたきっかけは、「枯葉」が二度、別の曲といっていいような演奏で、続けて収録されていたからなので、この曲順はちょっと残念な気がしなくもない。が、そこを別にすれば、印象はほとんど変わらず、別テイクの「降っても晴れても」や「ブルー・イン・グリーン」も楽しい。

 過日、職場の同僚と雑談しているさいに、お互いジャズが好き、ということがわかった。ぼくが「最初に聴いたのはビル・エヴァンス」だと言ったら、もしまだ聴いてなかったら、と薦めてくれたのが、『エクスプロレイションズ』。『ポートレイト・イン・ジャズ』の翌々年に録音されたアルバムだ。

《収録曲》Israel / Haunted Heart / Beautiful Love (Take2) / Elsa / Nardis / How Deep Is The Ocean? / I Wish I Knew / Sweet And Lovely / Beautiful Love (Take1) (Bonus Track) / Boy Next Door (Bonus Track)
《パーソネル》ビル・エヴァンス (piano) ポール・モチアン (drums) スコット・ラファロ (bass) 1961年2月2日録音

 たしかにこれはビル・エヴァンスのピアノなのだけれど、『ポートレイト・イン・ジャズ』を聴いたすぐあとで聴くと、彼が秘めている「激しさ」が表に出てきているように感じられる。エヴァンスにはやさしいイメージを持っていただけに、ここではときに狂気じみて聴こえるほどなのには、驚いた。モチアンのドラムス、とくにシンバルの鋭さ。ラファロのベースの、ボクサーの連打のような力強さ。それぞれがさらに、エヴァンスの「激しさ」に拍車をかけているようだ。
 タイトルの explorations(探究)を、explosions(爆発)と読み違えてしまった。