本漫画

 和田誠さんが、毎日新聞の書評欄に描き続けた、本をテーマにしたひとコマ漫画をまとめた本。
 ひとコマ漫画だから、ぼくに何が語れるというものでもなく、書店で見かけたらまずは手にとって、何ページかながめてみてください、とお願いするくらい。楽しくなれたら、買っていくといいでしょう。手元に置いて、ときどき開いてみるだけで、沈んだ気持ちも晴れてきますよ。
 ジャケットの、読書する象のブックエンドからして、かわいいのだけれど、そのブックエンドが支えている本が、いかにも象に似つかわしいものなのが楽しい。中には、本や読書、文学や作家をネタにした漫画が、1ページにほぼ1点載っていて、たまに見開きもある。ひとコマ漫画なので、それぞれがどんなネタか、なんてことは書かないけれど、映画にちなんだものが多いのは、いかにも和田さんらしい。小説や戯曲を原作にした名画って多いんだなあ、ということにも気づく。
 御紹介しておきたいのは、バーコード嫌いで有名な和田さんが、バーコードをネタにしたものを一点、描いていること。また、人の読んでいる本が気になる、というシチュエーションのものがいくつかあって、どれも面白いのだけれど、もしかしたら描いている和田さん御本人が、本を読んでいる人を見ると、何を読んでいるのか気になるたちなのかもしれない。
 なお、この本、他の「装丁・和田誠」の本と同じく、遊びが隠れています。石上三登志さんの『名探偵たちのユートピア』(東京創元社)の遊びも楽しかったけれど、こちらにも脱帽しました。

『本漫画』和田誠 毎日新聞社2009 本体価格2000円
http://books.mainichi.co.jp/2009/01/post-44cc.html
インタビュー:和田誠さんに聞く:本漫画の時間(毎日jp
http://mainichi.jp/enta/book/interview/news/20090305org00m040011000c.html