バド・パウエル『BUD POWELL IN PARIS』

 このアルバム、デューク・エリントンがプロデュースしたことにも惹かれたのだが、それよりまず、「Dear Old Stockholm」が聴きたくて買った。が、直後に同曲のオリジナルを収録した、スタン・ゲッツの『THE SOUND』を手に入れてしまったばかりに、ほとんど聴かないままでいた。
 が、ここ数週間、繰り返し聴いている。このピアノトリオ、どの曲を聴いても、耳に心地よいからだ。こういうと、ジャズ通の中には、見下す人もいるかもしれない。でも、この心地よさの背後には、茶目っ気も不敵さも潜んでいる。そこがジャズの味なんじゃないか、と、ぼくはうすうす思いはじめているのだが、まだまだ知らない人の聴いていない演奏はたくさんあるから、今のところは、はっきりとは書けない。でも、このアルバムは、何度も聴き返しているうちに不敵さのほうがとくにはっきり見えてくるような気がして、楽しくなってきた。

【収録曲】1. How High the Moon 2. Dear Old Stockholm 3. Body and Soul 4. Jor-Du 5. Reets and I 6. Satin Doll 7. Parisian Thoroughfare 8. I Can't Get Started 9. Little Bennie 10. Indiana 11. B-Flat Blues
【パーソネル】Bud Powell (piano), Gilbert Rovere (bass), Kansas Fields (drums). 1963年2月録音