平賀三郎編著『ホームズなんでも事典』

 シャーロック・ホームズは好きだが、シャーロッキアンを名乗るほどでもない。だからか、このような本が出ていることにも、気づいていなかった。日本シャーロック・ホームズ・クラブのメンバーを中心に、さまざまな人たちが、ホームズをめぐる雑学を披瀝してくれる。ぼくみたいな読者がシャーロッキアンに一歩近づくとしたら、これは実に好適な本だ。
 ホームズの時代のロンドンの地理や鉄道についての検証、電信電話の普及と実態など、いかにも「ホームズ学」的なものから、インヴァネス・ケープやディア・ストーカーの実用性、さらにはドイルの時代の英国の出版事情や、日本のホームズ研究者、紹介者についてまで、103項目もある。どこから読んでも楽しい。面白いのは、「教育」「発達障害」「愛国心」など、ホームズ自身に関する項目で、読みの深さ、切り口の斬新さには脱帽する。
 この本の前に『ホームズまるわかり事典』という本も出ているのだとか。そっちも探さないと!
 なお、本書は執筆者のお一人、原田実さんから御献本いただきました。ここに記して御礼申し上げます。
『ホームズなんでも事典』平賀三郎編著 青弓社 2010
http://www.seikyusha.co.jp/books/ISBN978-4-7872-9198-1.html